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E.Achenbach*
JAERI-Review 95-008, 98 Pages, 1995/06
本レポートは、著者が原研の研究員招聘制度により2月2日~3月23日までの7週間、高温工学部に滞在したときに行った4回の講演をまとめたものである。著者が所属するユーリッヒ研究所(KFA)のエネルギープロセス工学研究所は、最近になって高温ガス炉に関する技術開発から燃料電池の技術開発へと研究項目を変更したが、多くの点で原研の研究と共通点を持っている。とくに、講演された、(1)原研の核熱利用システムとKFAの固体電解質型燃料電池(SOFC)に適用される水蒸気改質システムの研究、(2)原研における高温水蒸気電解とその逆反応であるKFAのSOFCに関する技術開発とモデル化、(3)原研の高温熱交換器とKFAのSOFCマニホールドにおける流量配分等のシミュレーション、(4)熱及び物質伝達の基礎研究については、相互に注目する分野である。本レポートは原研との今後の討議の下地として、そして原研の開発研究を促進・触発するものとして役立つものと考える。
武田 哲明; A.Ying*; M.A.Abdou*
Fusion Engineering and Design, 28, p.278 - 285, 1995/00
被引用回数:5 パーセンタイル:49.89(Nuclear Science & Technology)液体リチウムから低濃度のトリチウムを抽出することは、液体金属を増殖材とする核融合炉の研究を行う上で重要な問題である。本報告では、透過窓法とゲッタ法を用いたトリチウム抽出の解析に焦点をあてた。液体金属中のトリチウムの非定常質量保存式と透過管内を移動するトリチウムの非定常拡散方程式を解き、透過管の拡散率に対する影響を調べた。ゲッタ法においては、トリチウムの過渡応答曲線をゲッタ材の特性、運転条件、平衡吸着データ及び物質伝達率の関数として特徴づけることが重要である。解析は液体リチウムの運動量保存式と充填層内のトリチウムの質量保存式及び粒子内へのトリチウム拡散方程式を解いた。トリチウムの過渡応答曲線はゲッタベッド内の中心と壁付近の領域とでは大きく異なること等を示した。
姜 泰一*; 岡本 孝司*; 班目 春樹*; 文沢 元雄
日本機械学会論文集,B, 59(566), p.172 - 178, 1993/10
高温ガス炉スタンドパイプ破断時空気侵入挙動解明の一環として、仕切りのある開口部におけるヘリウムと空気による密度差置換流の実験を行った。開口部高さと内径の比(アスペクト比)が小さい領域では、仕切りの有無による差はみられない。しかし、アスペクト比の大きな領域では、仕切りの無い場合に比べて仕切りの有る場合の方が置換流量が多くなる。この領域の置換流量を、管路の圧力損失と水頭差の釣合から評価し、アスペクト比や内径の影響を説明することができた。また、流量を評価する上で、開口部出入口近傍における上昇・下昇流の干渉による圧力損失が重要であることが分かった。
小川 益郎
日本機械学会論文集,B, 59(560), p.1181 - 1186, 1993/04
高温ガス炉の配管破断事故時における高温での黒鉛の腐食速度や一酸化炭素の発生量を予測するために、黒鉛円管内の層流において、一酸化炭素の燃焼反応と黒鉛の酸化反応を伴なう場合の多成分混合気体(ヘリウム、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素の4成分)系の物質伝達に関する数値解析を行った。入口レイノルズ数を50~1000、温度を800~1600C、入口の酸素質量分率を0~0.5の範囲で、物質伝達率に及ぼす一酸化炭素の燃焼反応と黒鉛の酸化反応の影響を定性的・定量的に明らかにした。
小川 益郎
日本原子力学会誌, 35(3), p.245 - 252, 1993/03
被引用回数:13 パーセンタイル:76.59(Nuclear Science & Technology)高温ガス炉における一次冷却系配管破断事故に関連した円管内混合気体層流における黒鉛酸化時の物質伝達に関する実験・数値解析について報告する。実験では、入口レイノルズ数を16から320の範囲で、黒鉛温度を600から1050Cの範囲で、入口酸素質量分率を10から50%の範囲で変化させた。IG-110とPGX黒鉛材を用いた。熱・物質伝達のアナロジーが成り立つ場合の物質伝達率より実験値は小さな値を示した。数値解析結果から、壁からの吹き出し流れの効果によってこの物質伝達特性を説明できた。また、黒鉛の酸化と一酸化炭素の燃焼反応を考慮した一次元解析により、一酸化炭素および二酸化炭素の生成量をほぼ予測できた。
B.Han*; 小川 益郎; 江森 恒一; 菱田 誠
JAERI-M 92-167, 124 Pages, 1992/11
高温ガス炉の配管破断事故時の熱流動特性をより高精度で予測するため、空気侵入による高温での黒鉛腐食を伴なった混合ガスの自然対流中における物質伝達に関する実験を行った。多流路試験部は、全体に逆U字型をしている。逆U字流路の片側は、それぞれ並行な、二本の高温の黒鉛製流路と一本の低温の金属製流路からなっている。出入口における酸素、一酸化炭素、二酸化炭素のモル分率、黒鉛管の腐食厚さ、流量配分などを1200C以下の黒鉛流路の様々な温度条件下で測定した。これらの結果からシャーウッド数と黒鉛流路入口からの無次元距離との関係を得た。本実験条件では、出口における一酸化炭素のモル分率の最大値は0.25%であり、得られたシャーウッド数は、熱・物質伝達のアナロジーを仮定して得られる値より小さかった。
小川 益郎
JAERI-M 92-139, 132 Pages, 1992/10
高温ガス炉の配管破断事故時における黒鉛の腐食速度や一酸化炭素の発生量を予測するため、黒鉛円管内の層流において、一酸化炭素の燃焼反応と黒鉛の固気化学反応を伴なう場合の多成分混合気体(ヘリウム、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素の4成分)系の物質伝達に関する数値解析を行った。本数値解析では、各成分気体の質量保存式の拡散項に、便宜的な2成分拡散係数を用いる方式ではなく、多成分拡散係数を用いる本来の方式を採り、それらを解いた。入口レイノルズ数を50~1000、黒鉛温度を800~1600C、入口での酸素質量分率を0~0.5の範囲で変化させ、各成分気体の物質伝達率を計算した。その結果、物質伝達特性に及ぼす一酸化炭素の燃焼反応や黒鉛の固気化学反応の影響を定性的・定量的に把握することができた。
菱田 誠; 小川 益郎; 武田 哲明; 文沢 元雄
Proc. of the 4th Int. Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal-Hydraulics, Vol. 1, p.163 - 169, 1989/10
高温工学試験研究炉の一次冷却系配管破断事故時における空気の浸入挙動及び黒鉛材料の酸化に関する研究を行った。空気の浸入挙動に関しては、逆U字管内への浸入挙動を解析及び実験によって調べるとともに、HTTRを簡単に模擬した試験体内への浸入挙動を実験によって調べた。その結果、模擬配管破断後しばらくの間は空気は拡散と微弱な自然循環によって浸入すること、空気の自然循環が発生するのはかなりの時間が経過した後であること等が分かった。黒鉛材料の酸化に関しては、黒鉛管内に高温のヘリウム-空気混合気体を流して酸化量を実験的に調べた。その結果、酸化量は、熱伝達と物質伝達のアナロジーが成立するとして熱伝達率から求めた物質伝達率を用いて評価できることが分かった。
小川 益郎
Int.J.Heat Mass Transfer, 30(5), p.1017 - 1026, 1987/05
被引用回数:5 パーセンタイル:52.65(Thermodynamics)高温ガス冷却炉での空気侵入事象の研究に関連して、高温の黒鉛多孔質円柱に直交して流れる混合ガス流が化学反応と多孔質内拡散を伴う場合の物質伝達に関して実験的研究を行なった。レイノルズ数を533~2490の範囲で、円柱温度を848~1120Cの範囲で変え、約5%の酸素を含んだ窒素ガス流中に黒鉛円柱を置いた。物質伝達に及ぼす化学反応と多孔質内拡散の影響を調べるために、平均及び局所物質伝達率と腐食速度を求めた。これらの結果、本実験条件下では、化学反応は物質伝達にほとんど影響を与えることはなく、また、物質伝達に及ぼす多孔質内拡散の効果は、既存の腐食速度の関係式と物質伝達の関係式とから評価できる。
小川 益郎
日本機械学会論文集,B, 53(488), p.1351 - 1359, 1987/00
高温ガス冷却炉での空気侵入事象の研究に関連して、高温の多孔質円柱に直交して流れる混合ガス流が化学反応と多孔質内拡散を伴う場合の物質伝達に関して実験的研究を行った。レイノルズ数を533~2490の範囲で、円柱温度を848~1120Cの範囲で変え、5%の酸素を含んだ窒素ガス流中に黒鉛円柱を置いた。物質伝達に及ぼす化学反応と多孔質内拡散の影響を調べるために、平均及び局所物質伝達率と腐食速度を求めた。これらの結果、高温ガス冷却炉の空気侵入時に予想される条件下では、化学反応は物質伝達にほとんど影響せず、また、物質伝達に及ぼす多孔質内拡散の効果は、既存の腐食速度の関係式と物質伝達の関係式から評価できることが明らかになった。